小学生の親のための勉強会 ③

中学生の親のための勉強会

 今回は受験をせず、地元の公立中学校への進学を予定している子についてのお話です。ぜひ姉妹記事の中学生の親のための勉強会と合わせてご一読下さい。

 

子どもの将来を考えてみる

 保護者の皆様、お子様の将来をどのようにお考えでしょうか?

子どもの未来は努力次第で無限の可能性があり、「自分の望む道を進ませてあげたい」と思うのも親心でしょう。しかしどのような進路を取るにしても、現実的な観点から

「せめて高校(大学)くらいは出てほしい」

と思われる方が多いようです。もちろん学歴がだけが全てではありませんが、現代日本できちんと就職して働くことを考えた場合、相応の能力の証明として学歴があって困ることはありません。
ご家庭の方針により多少の差異はあれど、子どもには「できる限り勉強を頑張ってほしい」と考えていらっしゃる方が多いことと思います。しかし、大学の学費は相当な額になります。学部にもよりますが、4年間での学費は国立で250万、私立で350万~550万ほどにも達します。(ちなみに、私大でも医学、歯学、薬学、音楽、美術系は家が1軒吹っ飛ぶほど高額なこともざらです・・・。)

これにさらに交通費、生活費、塾代や予備校代などが入ってくることを考えると、

「これほどの金額をかけるならば、それなりの大学に行ってもらいたい」

と思うのも当然です。
就職の役にも立たないような、まともな勉強ができない大学で4年間遊んで過ごすキャンパスライフを送らせるためだけに500万は払えません。

では、きちんと大学の授業が行われる”それなりの大学”というのはどこになるのでしょうか。このあたりはご家庭での意見にもよるところなので一概には言えませんが、多くの保護者様の意見としては

GMARCH(学習院大、明治大、青山大、立教大、中央大、法政大)
日東駒専(日大、東洋大、駒沢大、専修大)

を挙げられることが多いです。
では、これらの大学に入るためにはどのくらいのレベルの高校に入る必要があるのでしょうか?中学ではどれくらいの成績をとっておく必要があるのでしょうか?ひいては、小学生のうちにどの程度の学力である必要があるのでしょうか?この近隣の都立高校を例に挙げて考えてみましょう。

進路2

仮に中学でALL4程度の成績を取れて日野台高校に入ったとしましょう。そこからGMARCH以上の大学に受かる人は40人クラスならば上位10番くらいです。これが南平高校ならクラスで上位5番以内には入る必要があります。

まとめると、


中堅大学に入るためには中学校でオール4程度の成績を取り、かつ高校でクラス上位10番くらいの成績を取らなければならない

という、非常に厳しいハードルを超えなければならないことになります。

 

勉強はいつから始めるのか

 結論を先に言っておきますが、塾に通わせるタイミングを決めるのは

最終的な目標をどこにおくのか

によって決まります。勉強は現在の成績と最終的な目標を勘案し、長期的に学習プランを立てていくべきだからです。特に、前述した中堅以上の大学に行かせようと思った場合、かなり早い段階から子どもの学習状況を注視していく必要があります。

 勉強が得意な子をさらに伸ばす目的で塾に入れるのは非常に賢い選択です。実際、「小学校の勉強に今のところ困っていないけど早めに塾に通わせよう」と考える親御様は賢明な方が多いです。才覚がある子が適切な訓練を受ければ、その後安定した成績を出し続けられるようになります。
 逆に勉強が苦手な子についてはさらに切迫して対策を講じる必要があります。勉強に対する姿勢が身についている子とそうでない子では、学力差は時間とともに二次関数ばりに開いていしまうからです。子どもの学習状況が黄信号になっていることを親が気付かずに放置してしまっていることも多く、中学1年生の定期テストで酷い点数を取ってきて初めて遅れに気づくこともよくあります。勉強ができないと、やがて苦手意識から勉強嫌いに繋がってしまうため、学習の遅れを感じた場合はなるべく早くフォローしてあげる必要があります。できることなら遅れが出る前に塾に通わせて「予防」してあげてください。

子どもの学習状況のチェック

今回の話のメイン。
子どもの学習状況をチェック項目を紹介します。
特に[1]!超重要です!他の項目が一切悪くても[1]さえクリアできていれば、多少勉強に遅れがあったとしても後から挽回可能です。
逆に[1]ができていないと中学以降、高確率で成績が伸びず低迷し続けます。

 

[1]勉強に対する意識づけ

 

 

① 宿題は何がなんでも期日までに終わらせる
② 漢字テストの前は必ず満点を取るくらい勉強して挑む
③ できないことを人のせいにしない

 

この3つができている子はそれだけで優等生です。この3つの項目に比べたら、他の子より英単語を多く覚えているとか難しい計算ができるとかは全て瑣末な問題です。

①ができていないということは
「宿題をやらなくてもいい」と思っているということであり、

②ができていないということは
「テスト前に勉強しなくていい」と思っているということであり、

③ができていないということは
「自分の勉強が不足している」ことに目を背けているということです。

こんな心持ちで勉強ができるようになるわけありません。正直、勉強以前の問題です。かなり荒っぽい見方であると思われるかもしれませんが、この3項目だけは何がなんでも小学生のうちにできるようにしてあげていただきたい。内容的に「学習指導」というよりは「しつけ」に近いので、中学生の反抗期に差し掛かってからでは矯正が非常に困難になります。まだ聞き分けのいい小学生のうちが勝負です。

 ②が算数のテストでなく漢字テストである理由は、漢字テストは通常「問題も答も事前に与えられている」からです。問題も答もわかっているテストであれば、得意苦手に関わらず努力すれば必ず高得点が取れます。逆に言えば、漢字テストで得点がとれない子はまず間違いなく勉強に関して努力が足りないということになります。

 ③については特に厳しく対応してください。本気で子どもの将来を左右します。
子どもに勉強について問いただすと「先生の教え方が悪いから・・・」「部活や習い事が忙しいから・・・」「勉強のやり方がわからないから・・・」と様々理由をつけては、

「だから勉強しないけど許してね。」

ということを表明します。この言い分を親が認めてしまったが最後、晴れて勉強しない子ができあがります。勉強ができない原因は99%「自分が勉強を怠っているせい」です。このことを誤魔化しているうちは絶対に勉強ができるようにはなりません。

「先生の教え方が悪い」 → だからといって勉強しないでいい理由にならない。
                    ならば塾に通いなさい。

「部活が忙しい」    → 部活を言い訳にするくらいなら辞めなさい。
                  部活が忙しいのは他の人も同じはず。

「勉強のやり方がわからない」 → 先生にわかるまで質問してきなさい。
                        塾で聞いてきなさい。

というように強く対応してください。「不都合を人のせいにしない」ということは子どもの教育でも、譲ってはならない勝負どころです。勉強するのに不都合があるのなら、より一層の努力でカバーするようにと、よく話し合っていただくことをおすすめいたします。

 

[2]学校の勉強はどれくらいできていればいい?

 小学校は行われるテストについては、塾に通っていようがいまいが最低でも毎回9割を超えてほしいところです。8割を切っているものがある場合は要注意です。早めに対策を講じてください。

宿題については毎回すべて提出して当たり前です。

中学以降は提出物の不備、遅れは大きな減点となるので「宿題、提出物と名のつくものは石にかじりついてでも終わらせる」習慣をつけさせてください。

 また、具体的な偏差値などを知りたい場合は学習塾で全国模試を受けてみましょう。塾に通わなくても、申し込めばテストだけ受けさせてくれるところもあります。ただ、小学生のうちに模試を受けるような子は総じて勉強に対する意識が高いので平均点が高くなりがちです。仮に平均点を割ったとしても慌てずに、あくまで目安と考えましょう。(模試の受け方、結果の見方についてはまた機会を設けて説明したいと思います。)

 

[3]小学生のうちに訓練してほしいこと

 [1]と[2]は”最低限これはおさえてね”というベースラインを考えたものでしたが、小学生のうちに積極的身につけておくとよいものをご紹介します。

 

① ノートの取り方
② 読書力

 

①については、ノートの取り方そのものというよりは、ノートを作り上げる練習をすることで「正しい計算式の書き方」「丁寧な字の書き方」「物事を整理して覚えやすくする力」を習得してください。中学以降の勉強はノートを元にして行うため、殴り書きで自分も読めないようなノートを書いているようだと勉強もできるようになりません。

②については、読書を通して「文章を素早く正確に読む力」を身につけてください。自分で本が読めない子は教科書の内容も理解できないため自習ができなくなる、他の人に比べて勉強にやたら時間がかかるといった致命的な状況に陥ります。先に述べたとおり勉強速度が遅いと、取り返しがきかないほど大きな学力差が生じます。

学力差

お子様の読書力がどの程度なのか計測し、さらに鍛えることは学習の上で必須です。読書力が高ければ高いほど、「理解力」「認識力」「情報処理能力」も上がるので同じ勉強をしていても効果が全く違ってくるためです。効果的に効率よく勉強するためにも読書力は特に注視すべき項目であるといえます。

かなり長くなってしまいましたが今回はこれでおしまいです。特に受験をしない場合は、小学生のうちは先取り学習よりも「小学生のうちにしかできない勉強」を優先するようにしてください。

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